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冒険でなく 恋愛でもなく

不勉強ながら、高野先生を知ったのはつい最近のことである。
一箱古本市の知り合いの中にファンの方が大勢いたので、自然と興味がわいた。
そして、最初の一冊をどれにしようかと思っていたところ、この一冊を手にとった。

 

まず、とても衝撃を受けた。
こんな漫画、私は初めて読んだ。

 

私がよく読んでいる漫画は、いわゆる、少年マンガとか少女マンガなわけで、それとはまったく違うものだった。
それも当然。この漫画には、冒険も恋愛もない、自然科学の本の読書案内漫画だからである。

いや、私が言いたい衝撃は、別に自然科学の本を案内しているからとかではない。

 

この漫画は、私が知る漫画のコマ割りから、自由なのである。
もちろん、四角のコマが並ぶのが基本なのだが、それに囚われない自由で遊び心があると言ってもいい表現!構図!
それでいて考え抜かれている。

 

登場する四人の科学者たちも、服装から言葉遣いから素敵にデザインされている。
特に私は、マキノ君が好きだ。そして、「花物語」を題材にした第6話が好きだ。
この第6話が、衝撃の源でもある。

 

それに、私の本棚には「花物語 続植物記」(牧野富太郎)がちゃかりあるのだから。

 

 

高野文子「ドミトリーともきんす」
(中央公論新社 2014)